コーヒーと砂糖

f:id:m-kite:20200718110438j:plain

 

家から学校までは歩いて行ける距離だった。それなりに近いような遠いような距離で20分以上はかかった。自転車通学にしたのはしばらくあとのことだ。

 

学校の授業がおわって、仲のよい二、三人の友達と一緒に歩いて帰り、家で遊ぶこともけっこうあった。あのときはいったい何をしていたんだろう。最近になって母にそう聞くと「勉強するって家によく来てたよね」と言った。そうだっけ。そういえば頭が良い友達がいたから、教えてもらった記憶がある。問題の文章をちらっと見ただけで「難しそう、読むのもめんどう」と言った私にその友達は「問題の文章はじっくり読んだほうがいい」と時間をかけて読んでいた。そうして問題をさらさらと解いていた。そうか、そこからして取り組み方がちがうのか。当たり前だけど、問題がなんなのか理解しないとその先には進めない。出来る人は集中力と忍耐力もちがう。いまだに、びっしりと文字が書いてある説明書には拒否反応がでてしまう。読むのも面倒くさい。

 

そうやっているうちに母が、飲み物とかおやつを持ってきてくれる。三人分のおやつだから多い。パン屋で買ってきた惣菜パンやら甘いのやら、いろんな種類のパンが大皿に出されたのを覚えている。棒にささったソーセージ入りの揚げパンがあった。そんなささいなことを今でも覚えている。三人ですべて完食した。フルーツ味のこんにゃくゼリーを何袋も開けて食べたこともある。これはおやつなので、友達が帰ったあとの夕食は普通に食べていた。高校生は食べざかりなのだ。

 

そのときからコーヒーを飲んでいた。砂糖とミルクて甘くして飲んでいた。コーヒーメーカーで入れるブラックコーヒーは、美術部の先生が出してくれて、その後飲めるようになっていた。その時の記事は「美術室とブラックコーヒー 」書いた。

 

また別な友達が遊びにきたとき。キチタニくんは弾き語りでギターを弾く。すでにライブラウスでライブをやっている腕前だ。レイミちゃんはバンド好きでキチタニくんとも仲が良かった。私もバンドが好きでエレキギターをやりはじめたばかりだった。まだ初心者の私に、キチヤくんは簡単なロックのコードを教えてくれた。

 

そうやっていると母がコーヒーを出してくれた。そのとき私はもうブラックで飲めるようになっていた。しかしキチタニくんはかなりの甘党らしく、透明なガラス瓶に入ったグラニュー糖をスプーンですくい、さらっとコーヒーに入れた。一杯、二杯、三杯。えっ、と思ったがまだつづく。ぜんぶで五、六杯、七杯と続いた。とんでもない量だ。「最近、砂糖いっぱいとって関節が痛い」だのなんだの言っていた。

 

いつもブラックで飲むけど、透明な茶色の大きめの砂糖「コーヒーシュガー」って見ているだけで綺麗でなんかいいよね。