宮沢賢治をめぐる旅
宮沢賢治の世界観、とくに「銀河鉄道の夜」が好きだ。自分が亡くなったら銀河鉄道に乗ってゆきたい。岩手県花巻市の宮沢賢治記念館は小学生のときに行ったことがある。かんじんな中身は覚えていないけど、パステルカラーのきれいなしおりを買ってもらったのが思い出だ。
宮沢賢治の「風の又三郎」「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」などの童話は子供のころからなじみがあった。「やまなし」“クラムボンはかぷかぷわらったよ。” は小学生の教科書にのっていて今でも覚えている。詩人でもあり詩集「春と修羅」は代表作。だれもが聞いたことがあるであろう「雨ニモマケズ」はメモ帳に書かれていて没後に発見された。今でこそ国民的作家で有名であるが、生前は無名に近く、雑誌に投稿した童話で得た原稿料は5円だけであったといわれる。肺炎になり37歳で亡くなった。
時を経て、賢治ゆかりの地にまた行きたくなった。
盛岡市材木町にある「光原社」をたずねる。
光原社は宮沢賢治の「注文の多い料理店」を発刊、社名も賢治の手によって名づけられた。光原社の創業者は花巻農学校の教師をしていた賢治の後輩にあたる。「注文の多い料理店」は賢治を代表する有名な童話集だが、当時はほとんど売れなかったそうだ。現在は岩手の漆器や全国のやきもの、沖縄のガラス、和紙など販売している。
宮沢賢治のさまざまな資料が飾られている。
隣接する「可否館」では、クラシカルな店内でハンドドリップのコーヒー、くるみクッキーやアイスクリーム、ワインゼリーなどいただける。今回は行かなかったけど、やっぱりコーヒーとくるみクッキー食べたかったなぁ。(福田パンの食べ過ぎでお腹いっぱいだったのだ)
向かい側には「光原社モーリオ」、くるみクッキーやお蕎麦、かりんとうなど岩手県の食品、南部鉄器など販売されている。お土産によさそう。南部鉄器は鉄でできているのでとてつもなく重い。しかしこれで調理すると鉄が溶けだし鉄分補給によいので興味はある。たまにふらっと立ちくらみするので。
場所を移動、遠野市にある「めがね橋」。
「銀河鉄道の夜」のモチーフとなったJR釜石線のアーチ型鉄道。ここかぁ、いいなぁ。宮沢賢治も眺めていたんだと想像ししみじみと眺める。電車が通ったら最高なんだけど田舎ではそう簡単には来ない。期間限定でライトアップされるそう。幻想的な雰囲気だろうな。
隣接する「道の駅みやもり」にすてきな自販機があった。
別な日に「宮沢賢治記念館」へ。詩や童話、教育、農業、科学と多彩なジャンルに及ぶ宮沢賢治の世界に触れることができる。賢治の愛用品や原稿などもあり興味深くながめた。
欲しかったネックレスを購入。宇宙ガラスというのだそう。まるで「銀河鉄道の夜」の世界観のようで美しい。ずっと眺めていても飽きない。青は銀河、赤は林檎や蠍座をイメージさせる。その日の旅館で撮影。
今は自宅の窓辺に飾って目でも楽しんでいる。私が先に亡くなったらこのネックレスと結婚記念に買ってもらったちいさな金の星のネックレスを首にかけて焼いてほしいと、ここに遺言しておく。
記念館を出る。よだかの星彫刻碑。
あっ、「注文の多い料理店」に出てくる山猫軒だ。
レストランとお土産になっている。
「雨ニモマケズ」の湯のみにひとめぼれ。たっぷりと入るのでお茶や紅茶を飲むときに使っている。その日の旅館で撮影。
宮沢賢治童話村へ移動。あぁ、これは「銀河鉄道の夜」に出てくる銀河ステーションではないか。すこし興奮する。ここが童話村の入り口。
宮沢賢治の世界観があふれていて、愛好者にはたまらない。
ファンタジックホール。
その先へ向かうと。
あたりいちめん銀河が広がっていた。「宇宙の部屋」
あまりに幻想的で美しい。
宮沢賢治の世界をたっぷりと堪能。
宿泊したホテルのロビー。宮沢賢治に関する本がたくさん置いてある。温泉あがりにゆったりと読む。こんな時間が好きだ。
「銀河鉄道の夜」の絵本を読む。やはり物語も絵も素敵。
別な日に、駐車場にとまっている花巻タクシー「カンパネルラ」を発見。レトロな外見に銀河がひろがっている。
花巻農学校跡地の「ぎんどろ公園」。宮沢賢治は学校の教師でもあった。
宮沢賢治をめぐる旅はたっぷりと楽しみ、大満足で幕を閉じた。まだしずかな余韻がのこっている。