福田パン

東北新幹線はやぶさ」に乗り、岩手県盛岡市についた。「はやぶさ」の最高時速は320km、上野駅から2時間でつく。東京から遠い地のように感じていたけど、このはやさはおどろきだ。盛岡市についたらまず行きたい場所、創業1948年の「福田パン」。岩手県の名物なので知っている人は多いのではないだろうか。そういう私はわりとさいきんになって知った。高校生のときまで青森県にいたけれど当時はしらなかったなぁ。それもそのはず対面販売の本店は2007年からはじめたようだ。

 

福田パン」はコッペパンが有名で、とてもおおきくボリュームがあるらしい。盛岡のソウルフード、あまいの、惣菜系の、約60種のメニュー表、組み合わせは無限大……。初心者はその組み合わせに迷ってしまうという。あぁどうしよう。自分のばんがきて「どうしますか」「あ、えーと、定番のあんバター、いやこっちもすてがたい。あ、ちょっと待ってください。うーんどうしよう」なんて迷ってしまってうしろにながい行列ができるのはさけたい。

 

お店に行く前にあるていど決めておかなくては。すこし予備知識をつけておこうとネットでありとあらゆる情報を調べる。YouTubeの動画もみてみる。図書館で「福田パンものがたり」を借りて福田パンの歴史も学んだ。よし、これで本番に挑もう。

 

朝7時からやっているけど、ぞくぞく人が買いに来て午後には売り切れるらしい。盛岡につくのは昼すぎだけど、買えるかな?駅弁は新幹線のなかでたべたけど、ちゃんと食べきれるかな?動画でみたけど、男ふたりで3本食べて「お腹にたまってきた」という。そんなにボリュームいっぱいなのか?そもそも福田パンのコンセプトは、岩手大学の学生のために「1つでおなかいっぱいになるコッペパンを」と作ったのがはじまりだって。一番人気の「あんバター」ははずせないし惣菜系も食べたい。しかしひとりで2個は無謀だろうか。夫と相談して「ふたりで3個にしよう」と決めた。

 

無事に盛岡駅についた。駅構内で福田パンが売っているのは事前にしらべていたので、いちおうみてみる。あ、ここだ、あった、福田パン。定番のあんバターは200円。本店では159円だからすこし高いけど、駅で買えるのは便利だろう。そのほかここ限定の「シチリアレモン」「キウイ」などがあった。

駅近くのホテルに荷物をおいて、無料のレンタサイクルを借り福田パンへと走らせる。駅から1キロほど、徒歩十数分だけど自転車ならだんぜん楽チンではやい。サングラスをかけ盛岡駅周辺をながめながらスイスイと自転車をこぐ。きもちがいい。旅先でサイクリングってなんだか楽しい。

 

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この日は日曜だけど混んでいなかった。駐車場があり、つぎつぎと地元の人が車で買いにきてすぐに帰ってゆく。あっさりと店内に入りあらかじめ決めていたメニュー「あんバター、ラムレーズン&牛乳クリーム(夫の)、コンビーフからし入りで」とよどみなく言うことができた。その場でささっとコッペパンに塗っていく。はやい。すぐにお会計。あんバターは159円、コンビーフは280円とリーズナブルな価格。作りたてが食べたかったので、外にあるベンチで食べることにした。

おおきいと聞いていたが、ついに本物とご対面。スーパーやコンビニで売っているコッペパンと比べるとあきらかにおおきい。横にも幅がある。手のひらにのせるとずっしり。なによりパンのふわっとしたいい香りがただよっている。あんバターからいく。パンはふわっ、もちっ、しなっ。給食のコッペパンてこういうのじゃなかった。こんなおいしいコッペパンが食べられるなんて盛岡の学生はうらやましい。

あんバターはしつこくなくずっと食べられそうな軽さ。はじめは「ふつうにおいしい」という感想だったが、シンプルなおいしさで食べ飽きない。コンビーフからしがいいアクセント。結局、ふたりで3本があっさりとお腹のなかにおさまった(新幹線で駅弁も食べたのに)。

 

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盛岡城跡地公園

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それどころか、もっといろいろなコッペパンを食べてみたい。これから自転車で石割桜盛岡城跡地公園など見にいくので、夫と相談して追加2個(タマゴ、粒入りピーナツ)を買った。青空がひろがっている盛岡城跡地公園のてっぺんにのぼり、ベンチにすわって城跡を眺めながら食べた。 

ホテルに泊まりあくる日。近くなのでまたもや福田パンへ行き「粒あん&チーズ」「メンチカツ」「コーヒー&ホイップ」を買いドライブがてらのおやつにした。チーズは甘くないクリームチーズを想像していたけど甘いクリームだった。コーヒーは意外とコーヒー感が強く、ホイップとの組み合わせが絶妙なおいしさだった。

  

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ここらへんのスーパーマーケットでは小包装の福田パンが売っている。これも食べてみたかった。本店の作りたてに比べるとそれなりだが、それでもしみじみとおいしい。旅のスパイスも効いているかもしれない。一週間の旅行で2回食べた。旅行では朝昼よく食べるので、たいてい夜は夕食なしの宿にしている。夕食に熱いお茶をいれ福田パンをむしゃむしゃと食べる。ふだん菓子パンは食べないし夕食に食べるなんてありえない。野菜の直売所のプチトマトやブドウ、スーパーでかったおかずを食べる。旅はこういう地域密着型の食事がいいものだ。

 

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最終日はまた盛岡にもどったので、福田パン本店へ行き持ち帰りで買った。「コーヒー&粒あん」のミックス。コーヒーもあんも好きなので、食べてみたかった組み合わせ。夫は「コンビーフ」「ラムレーズン&ホイップ」の2個。大切にエコバックにいれ、つぶさないよう東京まで持ち帰りこの日の夕食にした。エコバックを開けるとふわっとパンのいい香り。旅先で買ってきた、宮沢賢治のおおぶりの湯のみコップに熱いほうじ茶を入れる。おおきくたっぷりとした福田パン。これを食べ終わると旅もおわりだ。大切に味わって食べる。おおきいパンもついになくなってしまった。ふたりで合計15本食べた。いつかまた食べにいきたい。

 

福田パンものがたり

福田パンものがたり

  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 単行本