眠り
睡眠はとても大切なので充分にとっている。毎晩だいたい夜9時には布団に入る。横になったとき、つい体から小声がでてしまう。1日の疲れがじんわりと感じる。すべての物事がおわり、なにも遠慮することなく体を横たえる、いちばん幸せなときのひとつだ。
枕元のちいさな灯をつけ寝ながら読書をする。灯は電球色なので、暖色系のあたたかみがある色だ。昔から人工的ではっきり見えすぎる蛍光灯よりも、電球色のやさしく落ち着ける間接照明を好む。
一時間ほど読書をして10時には寝てしまう。その前に、たまに強烈な眠気がおそってくるときがある。だんだんとまぶたがさがってきて、どうにもがまんできない眠気だ。気がつくと目が閉じている。読んでいる本を落としてしまう。これを何度かくりかえすと諦めて電気を消し眠る。
なかなか眠れないというのはあまりない。寝る前に気が張っていたり、考えごとをしていると目が冴えてしまう。そういうときは深呼吸を何度かし、酸素をたっぷりと吸い込んでやる。そうするといつのまにか眠りにはいっている。起床は6時半だ。睡眠時間は日によって多少変わるけどだいたい8時間半寝ている。
以前、会社勤めのころは寝るのがおそかった。帰宅時間がおそかったから午前0時前に寝るのはありえなかった。寝るのは深夜1時をこえ、2時すぎとか。同僚では3時、4時の人もいた。ほとんど明け方の異常な時間だ。この仕事をやっていると夜型人間になってしまう。始業時間は日によって変わるが、10時からが多かった。通勤に一時間かかる。家で過ごす時間は2時間ないといやなので起床は7時すぎだったか。ちゃんとご飯を炊いて朝ごはんを食べていた。ほかほかご飯が好きなのだ。
ごくまれに徹夜仕事があった。急に仕事がやってきて、どうしても朝一番にしあげなくてはいけない。気分が滅入る最悪の事態だ。文句を言っても仕事がおわるわけじゃないので、早く仕上げるため黙々とかたづけていく。文句を言っているひまがあったら、手を動かしたほうが建設的だ。
外の深くて濃い闇がだんだんとうすくなってきた。空がうっすらと明るくなっている。早起きの鳥のさえずる声が聞こえる。もう明け方、始発の電車がそろそろ走る時間。もうろうとした頭と体をかかえ始発の電車に乗る。さらに乗り換え電車に乗る。ここまでくれば大丈夫。最寄駅で寝過ごさないよう気は張っているが、気がつくと短時間で暴力的な眠気におそわれてしまう。「ここはどこだ」とハッと眠りから冷める。まわりを確認して「まだ大丈夫だ」その繰り返し。無理もない、一睡もせず徹夜したのだから。最寄駅でどうにか寝過ごさず降りる。今日は休みだからゆっくりと寝させてもらう。起きるのはお昼だ。今ではその生活はとても考えられないし、二度と戻りたくない。