コンタクトレンズ

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もう30年もハードコンタクトレンズを付けている。

 

中学生の頃から黒板の文字が見えづらくなり、メガネを作った。授業中はメガネをかけていたが、付けたり外したりで日常的にかけることはなかった。

高校生に上がるときコンタクトレンズにした。乱視が入っていたので、かたいハードのレンズだ。乱視はモノがぶれて見える。二重に見えるというがそれどころではない。何十にもなっている。例えばひとつの小さな丸い光。遠くに離れていくほどに、ぶれて小さな丸が増えていって、やがてひとつの大きな円がぼんやりと見える。

 

視力はどんどんと落ち、コンタクトレンズがないと日常生活をおくれない。今では両目0.02程度か。眼科の先生に「落ちるとこまで落ちましたね」と言われた。目がいい人だと、0.1も余裕で見えないなんて信じられないだろうな。視力が落ちつづけるのは現在進行形なのでこわい。視力の検査をすると去年よりも落ちている。どこまで落ち続けるのだろう。

 

メガネはレンズが分厚くなりすぎるので使わない。目がとても小さく見えてしまうのが嫌だし、レンズのまわりの曲面で見ると視界が歪んでしまって危ない。メガネを通して見る世界はモノが90%くらいに縮小されて見える。これじゃまるで村上春樹の「TVピープル」みたいじゃないか。

 

裸眼で0.02の視力だと世界は全部ぼやけている。人の顔、表情がまったくわからない。本の文字は5センチ程度に近づけなければ見えない。

そういえば中学生のとき「部活の先輩に廊下で会ったら必ず挨拶しなくてはいけない」決まりがあった。あるとき先輩に「廊下ですれ違ったのに挨拶しなかった」となじられたことがある。その時はメガネを外していたので、人の顔なんかわからんよ。今考えるとくだらない決まりだと思っていたけど、当時は先輩って怖かったよね。

 

ある日の朝コンタクトレンズを付けようと、洗面所にポールチェーンで繋がっているゴムのフタをし、左のレンズをケースから外し洗った。裸眼だからぼやっとして見えない。毎日のことだから慣れた手つきでやっていた。さてレンズを付けようとしたその時「レンズがない!」とりあえず右のレンズを付けて見る。ゴムのフタが少しずれている。しまった。左のレンズはどこにもない。どう考えても洗面所の排水に流してしまったことは明白だった。「あー、やってしまった……」

 

こういう時のために予備レンズがある。以前使っていた古いハードコンタクトレンズだ。視力が落ちたので作り変えたのだ。ないより全然マシ、これがあって助かった。それを付け朝一番でレンズを買いに眼科に走った。

 

今のレンズは4年も使っている。寿命は2、3年なので、両目のレンズを新しくすることにした。古いレンズを検査して見てもらったら、小さな亀裂が入っている。「痛みや違和感ないですか?このレンズは危ないから使わないでください」と言われた。今回は緊急時だからしょうがない、使うのはもうやめよう。私の新しいレンズは度が強いため在庫がなく、とりよせに一週間もかかってしまう。しょうがない。

 

以前レンズをなくしてしまったときに、予備用に使い捨てのソフトコンタクトレンズを買っていた。一番度が強いのにしたけれど、私ににとっては弱い。パソコンの文字はぶれて見えづらい。買ったとたんレンズをなくすことはなく使わないまま使用期限が2年も経ってしまった。しかしないより全然マシだし、新品だから清潔だ。新しいレンズが届くまで、この使い捨てレンズを使っている。右目はハードレンズ(角膜より小さい)、左目はソフトレンズ(角膜より大きい)と奇妙なことになっている。(上のイラスト参照)

 

 昨日、無事に新しいレンズが届いた。今は快適に過ごしている。

 

 

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  • 発売日: 2016/06/21
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見知らぬ人

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休日の朝飯前にジョギングをした。ジョギングは数年続いている日々の習慣だ。近くの公園まで走り、周回コースをまわり往復して帰ってくる。緑の自然が豊かな公園は広々として快適なので定番のコース。ひとまわり2kmの周回コースを何回まわるかで時間は変わってくるが、トータルで45分か一時間くらい。

 

その日の朝は曇り空でそれほど暑くなく走りやすかった。45分走り自宅マンションへ着いた。背中は少し汗ばんでいる。エレベーターにはのらず、非常階段で仕上げをする。これがなかなかいい運動になる。

各階には階数の数字プレートが大きく貼ってある。今は2階、トントンとあがり3階……。白い壁につや消し銀色の数字プレート。ちらっと見ながらあがる。自分の家は5階、日常的に使っているから数字プレートを見なくともだいたいの感覚でわかる。考え事をしていると6階まであがってしまう、もしくは6階の途中まであがってしまうこともある。重い荷物を持っているときは「そろそろ終わり?あぁ、まだ4階だ」てのが何回もあった。

 

非常階段を使う人に会ったことはない。その日は階段を一歩一歩あがっていたら、1階のドアをキイと開ける音がしてきた。「珍しいな」と思いながら5階へ到達した。

 

自宅ドアの前につき、ポケットから鍵をとりだしドアの鍵穴に差し入れた。しかし鍵が回らない。もう一度試したが回らない。「え、どうして」と焦った。鍵穴にはぴったりとささっている。鍵を抜き、よく見てみた。欠けや曲がりなどなにも異常がない。もしかしていたずらで鍵穴に接着剤をいれられたか?と見てみるもそんなことはない。

 

暑くてうっとうしいマスクを片耳にかけたまま外す。片手に持っていた1階のポストからの雑多なチラシを乱暴に新聞受けにつっこむ。あぁ、もう、厄介なことになってしまった。

なんども鍵穴に差し入れ回そうとする。かたい。ガチャガチャとドアノブを引く。開かない。何回やってもだめだ。最悪なことに日曜日だから常駐の管理人さんもいない。夫はたまたま休日出勤で家にいない。近所付き合いもなく頼れるひともいない。ジョギングにいくときはスマホも財布も持っていない。あるのは開かない鍵と、汗ばんだトレーニングシャツと途方にくれた私の顔だけだ。

 

ムダなあがきと知りながらも、結局5分近くもガチャガチャとやっていたその時。ガチャっと軽くドアが開いた。メガネをかけた見知らぬ男性だった。「え、わたしの家に、この人はだれ?」と思うと同時に「管理かなにかの業者を頼んだっけ?」と頭のなかですばやく記憶を思い出そうとした。自分の家のなかに、見知らぬ男性が入り込んでいる。そんな不可解な謎が渦巻くが、午前中の平和な光のなかでは、まったく怖さはなかった。

 

その男性はやさしそうな顔で「お部屋、お間違いではないですか」と言った。「えっ!」すぐさま周りを見渡した。いや、はじっこからこの場所だから何も間違っていないじゃない。「あ、階数を間違ったのか!」と気がつき、すぐさま「すみません!間違えました!」とぺこぺこして謝った。ここは4階だった。「よくあることですから」と男性。やさしい人でよかった。しばらくガチャガチャやられて恐怖だったろうな。

 

そういえば以前、ドアノブをガチャっと引く音でおどろき、玄関に出てくと見知らぬ男性が立っていた。私を見るなり「間違えました」とサッと去っていった。そのとき私は「ほんとか?留守狙いの不審者では」と腑に落ちない気持ちになっていた。そんな自分の家を間違えるわけないでしょう、と。しかし私も同じことをしてしまった。

 

なぜ間違ったのか。私のほかに非常階段を使う人がいて珍しい、と考えごとをしていたからだった。

 

 

UDF どこでもドア(ノンスケール PVC製塗装済み完成品)

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  • 発売日: 2012/12/22
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

LINEスタンプ販売して3年以上、1円も回収できていない

前回の記事「あっさりご飯」を書いたら「このあさりのキャラクターは何?」「かわいい」「かわいくない」「食べてしまいたい」「つつきたい」「気になってしょうがないから詳しいこと知りたい」というお問合せの電話がパンク寸前だった。うれしい悲鳴、今までにない反響に私は驚愕した。ついに私の時代ががきたか。(はい、ウソです)

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あさりでろり

1.当時紹介していたブログの記事

LINEスタンプは2017年3月にひとつだけ販売した。当時Tumblr(ランブラー)ブログに下記の記事を書いた。 

LINEスタンプ販売中!
みなさんお待たせしました。ついにLINEスタンプが発売となりました。「ゆかいな海の仲間たち」〜日常生活で使えるスタンプ、いろんな海の仲間がいるよ。〜 こちらから購入できます→https://store.line.me/stickershop/product/1401521
イラストを描くのはかなり久しぶりで、もう20年位経っていると思う。描き慣れていないからかなり労力使ったけど、楽しくて夢中になって作った。制作期間は、一日数時間ほどやってトータル2週間ぐらい。
販売されてから、さっそく自分で買って使ってみた。コツコツと作ったものが、こうやって形になるとすごく嬉しい。友達にもお知らせしたら、さっそく買ってくれた人もいて心から感謝。ついこの間まで、LINEスタンプ作れる人はすごいなって思っていた。自分には絵が描けないと思っていたし。絵が上手くなりたいから、これで終わりにしないで絵は描き続けていこう。 

(↑初心者のういういしさがでていますね)

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2.なぜ海の中のイラストを描いたか

全部で40種類。今までイラストは描いていなかったので、われながらよく頑張って描いたもんだと思う。なぜ海の仲間のイラストかというと、なんとなく描きやすそうだからとしか言いようがない。いや、ちゃんと掘り下げて考えてみよう。そういえば小学生のとき、海の中の絵をよく描いていたからかな。

海の底にはゴツゴツとした岩があり、ワカメがゆらゆらと漂っている。赤いカニはチョキを出して横歩きしている。透明感のあるブルーのグラデーションの海のなかは、色とりどりの魚やイカやタコが泳いでいる。口からは真っ黒い墨をだしている。きらきら輝いている宝石みたいな貝たち。そんな絵を、画用紙に絵の具で何枚も描いていた。

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3.手書きのイラストと文字

画用紙に手描きでイラストを描いて、スキャナーで取り込み、フォトショップで色付けをした。色付けするとだんだんそれらしくなってきて楽しかった。おおげさに言うと意志を持った生命が誕生したような。それまでキャラクターを描いたことがなかったから嬉しかった。

コメントの文字は最初パソコンの書体で書いていたが、どうもかたい印象でイラストと合わない。試しに手描きにしたらイラストとの相性がぴったりだった。最後に変えたこだわりの部分だ。

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4.売れた金額

LINEスタンプを販売した当初は、少しは労力が報われる程度に売れればいいなと思っていた。しかし現実は1円も支払われていない。3年3ヶ月経った現在、売上金は812円。そこから源泉徴収税がひかれて送金可能額は730円。しかし分配額は1000円超えないと送金申請できない。しかも銀行振込の手数料は550円かかる(LINE Payの手数料は0円)。

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5.値段は2種類

120円のスタンプ一個売れて42円か31円。

・スタンプショップ(LINEのアプリ)から購入された場合→31円の分配金

・LINEストア(ChromeSafariのブラウザを経由)から購入された場合→42円の分配金

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6.さいごに

LINEスタンプってみんな使っているのかな?最近あまり使っていないと思ったけど、これは友だちと交流をしていないということだね。もっと使ったら楽しくなるよね。

なかなか売れるものではないけれど、買ってくれた人に感謝です。その気持ちさえあれば、たとえ1円だって入らなくてもいい。最後に大切なことだから言います。「ゆかいな海の仲間たちはここで売ってるよ

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あっさりご飯

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あっさりご飯が好きだ。昔からこってりより、あっさり素朴なものを好む。1人のご飯は白米に味噌汁、納豆、佃煮やふりかけがあればそれで充分。実際に平日のお昼はそのメニューだ。夜もそういうものでよいけれど、夫がいるのでそうもいかない。夜は肉や魚のおかずを付ける。まぁ、動物性タンパク質を採れるからよいのかな。

 

1人暮らしのときは、まさに上記のあっさりご飯で肉魚は食べなかった。タンパク質は納豆や豆腐、味噌などの大豆からとっていた。たまに思い出したように月に1回「なにがなんでも鶏の唐揚げが食べたいお腹」になり、スーパーで買ってきて食べるくらい。それでも体の不調はなにもなかったけれど。

 

会社勤めをしていたころ、毎日が夜遅く大変だったので「いっそのこと体調不良で倒れて会社休みたいな」と思ったこともあった。しかし他人より体が丈夫らしく一向に体調不良の気配があらわれなかった。残念なような、丈夫でよかったような複雑な気分だった。

 

平日はこんなご飯だけど、休日のランチはどこかへ出かけて外食をする。このときは何でも好きなものを食べる。ステーキや寿司、とんかつ、カレーライス、餃子などのがっつりこってり系も食べる。私も夫も「早く出て早く帰る」のが好きなので、午前中に出てランチを食べて、夕方前には帰宅する。ふたりともお酒は飲まないし夜に外出することはない。

 

帰宅してからの夕飯は面倒なので、かんたんなものになる。お弁当やお惣菜は買わない。手作りするのは面倒だからとスーパーで見ても、さほど食べたいものがないし「これにこんな金額出すのはちょっとなぁ」とためらってしまって結局買わない。例外は、家では揚げ物をしないのでコロッケやメンチカツはたまに買う。コープで100円で売っているのがおいしくて気に入っている。牛肉入りコロッケはぷっくりとふくれた楕円形でいかにもおいしそう。メンチカツは少し小ぶりでまんまるな形。トースターで表面がサクッとなるまで焼いて食べる。

 

その日は外出帰りの電車に乗りながら、今晩のメニューを考えていた。「冷凍ご飯があったから雑炊でも作ろう」。で、夫に「今夜はあっさりご飯にしようか」と言った。「え、あさりご飯!」「いやいや、あさりご飯じゃなくてあっさりご飯だよ、かんたんに」。しかし夫の気持ちはあさりご飯から離れなくなってしまったようだ。

そのときの私の気持ちがこちらです↓(このイラストも自分で描いた)

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しょうがないから帰り道にスーパーで「あさりの炊き込みご飯の素」を買った。米2合に入れて炊くだけだから楽チン。あさりがゴロゴロと入っていて、人参も入っている。醤油だしベースの味付けだ。ほどなくほかほかとしたあさりご飯が炊けた。あっさり出汁の味にあさりの旨味がシンプルなおいしさ。これぞあっさりご飯、いやあさりご飯。あさりご飯もいいもんだなと思った。

 

 

 

バナナ牛乳

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暑くなってくると、冷たいものやアイスが食べたくなる。冷凍庫にはアイスクリームを切らさず保存していたときもあったが、ここ最近は「バナナ牛乳」に目覚めた。バナナを一口大に切って牛乳をかけて食べるのはもちろんだけど、暑いときにおすすめなのが冷凍バナナで作る「冷凍バナナ牛乳」だ。

 

材料はバナナと牛乳だけ。小分けして凍らしたバナナに牛乳をかけ、スプーンで混ぜながらちょっとづつ溶かし飲む。自然の恵みのとびきりの甘さと美味しさに驚く。砂糖や添加物もないから健康的だし、安いバナナはひとふさ5本100円ほどで買えるのでとても経済的だ。

 

バナナは甘く完熟したものがいい。たまに見切り品で、黒い点々としたシュガースポットが出ているものがあるが、見つけたらすかさず買おう。甘く熟して一番の食べごろだし、安いし、いいことづくめ。すぐに冷凍保存しておくからなんの問題もない。青々とした新しいバナナしかなかったら、吊るしておいて「今かいまか」と熟すのを待つ。黄色が濃くなりちょっとづつシュガースポットが点々と出てくる。こういうときは待ち遠しく、「育てる楽しみ」もある。

 

はじめのころはバナナをナイフで切っていたが、それも必要はない。熟したバナナは手でモサモサとちぎれる。断面はぼこぼこしているから、かえって牛乳とおいしくなじむ気がする。切ったバナナは、金属のトレーなどに一個づつ広げて冷凍しておく。冷凍されたら袋にいれて保存。コップに好みの量の冷凍バナナと牛乳を入れるだけ。

 

お好みで、はちみつやプレーンヨーグルトを入れるものよい。バナナと牛乳、はちみつやプレーンヨーグルトを袋などにいれ冷凍する。かたまりきらないうちに手でもみ再度冷凍しを繰り返し、好みのかたさにする。他の果物でもアレンジできそう。

 

バナナの種類。安いバナナはさっぱりとした味。倍くらい高いものは、みっちりと密に詰まっていてもっちりとした食感だ。高い、と言っても300円以下で買えるのでそんなに高くはないだろう。しかし買うのに勇気がいるので、見切り品で安くなったときを狙う。いつでもあるわけではないし、朝一で買いに行くからあるわけでもなし、手に入れられるのはタイミングがよかったときだけ。見つけたときはうれしい。これから暑くなるから今のうちに手に入れておきたい。

 

家ではヨーグルトメーカーでいつもプレーンヨーグルトを作っている。そのヨーグルトを器にいれ冷凍庫に保存。かたまりきらないうちにスプーンで混ぜ、何度かくりかえす。食感がもったりとした「ヨーグルトアイス」のできあがりだ。甘さが欲しいなら、はちみつをたらして食べてもよい。

 

「冷凍バナナ牛乳」や「ヨーグルトアイス」があれば、市販のアイスはいらなくなる。まあ、市販のアイスも食べているのだけど。

 

 

香りつき消しゴム

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ひさしぶりにフルーツ味の歯磨き粉を使った。

幼稚園のころを思い出す。懐かしい。いちご味を使っている子を見て「いいなあ」と思った記憶がある。スースーするからいミント味ではなく、甘いフルーツ味。私は使っていたのだろうか、すっかり記憶がない。小学生のころ「アクアフレッシュ」を使っていたのははっきりと覚えている。赤青白のストライプ、その模様をきれいに出すには必ずお尻から出さなくてならない(お尻ってどこだ)。途中から押してしまうとそこからストライプがグジャグジャになるので厳禁だ。

 

今使っているのはオーラツー「フレッシュキウイミント」。パッケージも洒落ているし、期間限定につられてしまった。基本はさっぱりしたミント味がいいが、たまにはいいだろう。味はたしかにキウイミント。 

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フルーツ味の歯磨き粉で思い出したけど、子供の頃ってなにかと「香り付き」が好きで、あれこれ欲しがった。

 

香り付きのポケットティッシュ。普通のサイズより小さい子供サイズ。小学生のとき流行っていて女の子はたいていもっていた。外見のデザインもファンシーだし、中のティッシュ本体にはイラストがプリントされているものもある。

アイスクリームの香り、ストロベリー・オレンジ・パインのフルーツの香り。おいしそうな香りで匂いをかいでいるだけで幸せ気分になってしまう。ティッシュ自体はそうそう使わなかった。実用のためではなく、手元に置いていい匂いを嗅ぐため。プリント柄もかわいくて、いろんな種類が欲しくて買っていた。

 

香り玉は女の子のなかで流行った。透明でカラフルな色の5ミリ位のつぶつぶで、ゴムみたいな弾力がある。ピンク、黄色、緑、青、紫と色も豊富で、それぞれに違う香りが付いている。あれはどうやって使うのだろう。友だちと見せ合いっこしていたっけ。筆箱の中に少し入れていくと特別な感じがした。ふわっとした香りと、ファンシーで可愛らしい見た目を楽しんでいた。教室には香り玉がぽつぽつと落ちていた。 

 

香りつき消しゴムは男女とわず人気だった。香りつき消しゴムには夢がある。ただの事務的な消しゴムならそんなことにはならない。色々なフルーツやコーラ、チョコレート、なんだかわからない甘い香り。色は淡いグリーンとかピンクのパステルカラーだし、すごくおいしそう。そういえば、本物そっくり「アーモンドチョコ消しゴム」をおじいちゃんが食べたというニュースがあったのを覚えている。チョコの匂いがして見た目はそっくり、さすがにかじった瞬間わかると思うけど。

 

香りつき消しゴムは1個50円だったか。何個か買って友だちと見せ合ったり、交換したりもした。クラスの悪ガキの男の子は、女の子の消しゴムを奪うということもあった。気の強い女の子なら被害はないけど、そうじゃない子は狙われる。

 

友だちの女の子が、消しゴムを買ってきたんだと見せてくれてた。それを私にもくれるという。パステルカラーで、透明なフィルムがかかっていて新しい。フィルムをやぶらなくても鼻を近づけると、ふわっと甘いいい香りがした。「どれがいいかな、どれもいいなあ」と淡い夢見心地で見ていたそのとき。悪ガキの男の子が近寄ってきて、その消しゴムを奪って逃げた。友だちは「もう、返して!」と言って追っかけたけど、返してもらえないのは目に見えていた。いつもそうだから。すごすごと戻ってきた友だちと、机に残された私はがっかりとした。「また買ってくるから」と友だちは言った。

 

次の日の朝。その友だちが教室に入ってくるなり「○○ちゃーん!買ってきたよー!」と、消しゴム3つほどつかんだ片手を高くあげ、満面の笑みで私の名前を読んだ。その瞬間、悪ガキの男の子が何人か群がり、あれよあれよと言う間に消しゴムはすべて強奪された。残されたのは、何もつかんでいないからっぽの手と、怒りと悲しみの入り混じった友だちの顔だった。 私はまたしてもがっかりした。

「買ってきたのをわざわざ見せないで、大声で言わなきゃいいのに……」と強く思ったのを覚えている。

 

 

なにかの気配

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都内のとある会社で働いていたころ、ごくまれに土曜出勤をしていた。これは自主出勤で「仕事が立て込んでいるから、少し進めておいたほうが安心だな」というときだけだ。 休日出勤する人は少ない。

会社のビルはなかなか広く、それぞれの机にはパソコンがあり、部署ごとに7、8人ほどのブロック、そのブロックは5、6程度あったと思う。壁沿いに本や資料の本棚があり、大きなコピー機が置いてある。1階は営業のフロア、2階は私たちのフロアだった。

 

平日はあわただしく雑然としたフロアも、休日になると潮が引いたようにシンと静まり返っている。天井の蛍光灯は自分がいる場所だけを照らす。窓からの自然光に照らされた人のいないデスクは、ほっとしてくつろいでいるように見えた。デスクだってたまには休みたいにちがいない。遠くの人のいないフロアはやや薄暗い。このしずかな空間が落ち着く。人がいないとだれにも邪魔されないし気楽でいい。

 

その日の土曜出勤は、私の他にもうひとりふたりだったか、とても少ない人数だった。「さあ、はやく仕事を片付けてしまおう」とパソコンに向かった。この環境なのでとてもリラックスしてすすめることができる。数個隣の同じ部署の同僚と、たまに会話をする程度で、あとはもくもくと仕事をすすめていた。

 

しばらくして、階段をのぼってくる「タッ、タッ、タッ、タッ」という音がしてきた。規則正しい人間の歩く音だ。「あ、だれか休日出勤してきたな」しかしいくら経ってもフロアに入ってこない。おかしいなと思ったけど、さほど気にせず仕事をすすめた。

 

またしばらく経ったら「タッ、タッ、タッ、タッ」と音が聞こえる。けれども誰も入ってこない。何時間ものあいだにその音は何度も聞こえた。これはおかしい。けして空耳ではない。どう聞いても階段の音なのだ。同僚に「階段をのぼってくる音聞こえたよね?」と聞いたら、やはり同じように聞いている。もちろん1階の営業のフロアには誰もいない。

 

それだけではない。ときどき「パシッ」「バシッ」と乾いた音がフロアのなかで聞こえた。何度もはっきりと聞こえた。フロアの端に独立した役員室があるが、そこから明らかに人がいる物音のような「ガサッ」と大きな音も聞こえた。もちろんそこには鍵がかかっているし誰もいない。「今聞こえたよね?」「うん」と同僚は言う。

 

「え、これってラップ音じゃないの?」ラップ音とは心霊現象で、霊力の強い場所、心霊スポットや自殺の名所で聞こえるという。私は霊感はないし、それまでラップ音を聞いたことがなかった。しかしそれは聞くなり「ラップ音」だと思った。

ちなみに木造の新築住宅では、心霊現象ではない「ラップ音」のようなものが聞こえることもある。温度変化で木材が乾燥する時に音が聞こえるという。

 

後日、何人かの同僚とその話題になった。そのほかにも怖い体験した人がいた。彼は深夜まで残業していて最後の戸締りをし、トイレに入った。なにかに気づきゾッとして急いで用を足して逃げ帰ったという。その肝心の「なにか」がなんだったか忘れてしまった。推測するに、誰もいないはずのトイレにひとけを感じたとか、見たとかそういうことだったと思う。

そういえばそれで思い出したけど、平日の日中にトイレに入ったら「ジャー」っと別な個室から水を流す音が聞こえた。誰もいなかったから驚いた。その現象は2、3回遭遇した。どれもが明るい日中で誰もいないときだった。ちょっと怖かったけど「故障しているのだろう」と思い込ませた。

 

この話には続きがある。古株の同僚たちがこう言った。「実はこの会社、墓地の跡地に建てたんだよね」。その会社の先輩方はみんな知っている話だった。そうか、色々聞こえていたのは気のせいではなかったのか。

 

 

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