甘酒をつくる

だんだん肌寒くなってきて、ふと思った。甘酒が飲みたい。あたたかくほんのりとやさしい甘み。真冬の縁日で、鍋からもうもうと湯気がたっている熱々の甘酒。ひしゃくで紙コップに注いでくれる。ヤケドしそうなほどの熱々をふうふうして飲む。甘く滋味深い味が冷えた体をじんわりと温めてくれる。寒いからそう思うのだ。セミがじりじりなく暑苦しい夏にはけしてそう思わない。まあ、夏は夏で「冷やし甘酒」があるのだけど。

 

甘酒は2種類ある。酒粕甘酒は、酒粕に砂糖をくわえたもので少しアルコールがはいっている。米麹甘酒は米と米麹だけの甘み、アルコールはなし。ここはやはり砂糖なしの米麹甘酒でいきたい。私はあまり加工されていない素材をいかしたアッサリ味を好む。ヨーグルトは加糖なしのプレーン、コーヒーはブラック、バターたっぷりのクッキーよりもパサパサしたプレーンビスケット……。最近は「なんかあったかいの飲みたいけどコーヒーではない」という気分ときは白湯を飲んでいる。これがバカにすることなかれ、しみじみとやさしい味でなんかいい。体もあたたまるし気持ちもやさしくなる気がする。ってほっこりおばあちゃんか。

 

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さっそく甘酒を探しにスーパーに行ってみる。米麹甘酒(125ml)があった。「お米のやさしい甘さ、はえぬき国産米100%」材料は米麹、食塩。うん、これがいい。それから数日後、百均に行ってみたらここにも売っているではないか。ビニール袋(250g)にいれられて、そのままでも倍にうすめて飲むこともできる。材料は米、米こうじ、食塩。よし合格、お買いあげ。まだどちらも飲んでいないけど。

 

そういえば家にあるヨーグルトメーカーで甘酒もつくれることを思い出した。ちなみにこれで作るヨーグルトは毎日食べていて切らしたことがない。よし、せっかくだからこれで手作り甘酒をつくってみようか。ヨーグルトメーカーのレシピブックを開いてみる。「簡単甘酒」材料は、ごはん(炊飯済み)300g、乾燥米麹200g、熱湯250ml、水150ml。これを混ぜて9時間セットするだけ。ほんとに簡単ではないか。乾燥米麹をはじめて買ってきた。かたまりではなく、はじめからバラバラとほぐれているので楽チンだ。

 

ご飯を炊く。いつもご飯にもち麦をいれていたけど、甘酒をつくるので白米のみで。いまは「青森まっしぐら」の新米を食べている。実家の青森推しをするわけではないが、これがうまい。粘り気はすくなくあっさりとした食感、冷めてもおいしいので毎日食べて飽きがこない。そのわりにはスーパーで安く売っている。同じく青森産の「青天の霹靂」ははじめて食べときそのおいしさに驚いたものだ。こちらは値段が高いがまた食べたい。

 

手作りの甘酒、失敗したりおいしくなかったら困るのでレシピの半量つくることにした。ヨーグルトメーカーに付いていた専用容器に材料をいれる。甘酒は60度で9時間。ヨーグルトは40度なので温度が高い。ヨーグルトメーカーをさわるとほんのりと温かく、蓋の内部は結露してきている。夜になった。私は寝るけど、ヨーグルトメーカーにはがんばってもらう。おいしい甘酒ができますようにと祈りながら寝床にはいった。夜中に「ピー」っとヨーグルトメーカーが終了をつげる音を夢うつつに聞いた。

 

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朝になり甘酒のようすをみてみる。ゆすってみるとどろりとしている。お米のもろもろが多い。保温する前は無臭だったのにほんのりと甘いにおい。温めてスプーンですくって食べる。飲む、というより食べる感覚。うん、甘酒だ!ちゃんと甘酒の味になっている。まざりものがない手作りの甘酒。はじめはやさしい甘さだったけど、かるく蕎麦ちょこ一杯飲みおわるころには、すこし喉がひりつくような甘さだ。お米と米麹でこの甘さはおどろきだ。お好みでお湯でわってもいいので、ちょうどいい感じで調節してみよう。そうだ、お湯でわると食べるより飲むかんじになるだろうし。すこし甘いものが欲しいときにちょうどいいかも。もちろん氷と水をいれ冷やしでもいけるので、セミがじりじりなく暑苦しい夏にも。あれ、よく調べてみたらこれは「甘酒のもと」だから割って飲むのが正解みたい。どうりで原液だからろもろが多く甘いわけだよ。もちろん好みでそのまま食べてもよい。

 

 

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  • メディア: 食品&飲料